わたしは犬が大好きです。
ワンコのもっている愛らしいルックス・表情の豊かさだけではなく、従順さ、素直さ、義理堅さ、人の気持ちを正確に理解する頭の良さ、等々。
好きな要素を上げるときりがありません。
実際、犬も飼っていました。
昔、小学校の好きだった先生が飼っていた雑種犬が子供を数匹生み、親に承諾も得ずに家に「飼いたい」と言って連れ帰りました。
当然、親からは反対されましたが、泣いて頼み込んでその姿勢に根負けしたのかしぶしぶ承諾、雑種で体も非常に大きかったし、今ほど犬は室内で飼うのがあたりまでは無かった時代もあって、ずっと外で飼っていました。
勿論犬小屋はありましたが、場所は北海道、冬はマイナス氷点下に気温が下がるのは当たり前の環境の中、頑張って生きてくれて15年ほどの生涯をまっとうしました。
今でも、近所の犬と時々触れ合ったり、たまに仕事帰りにペットショップに立ち寄っては犬たちの見せる姿に癒されて帰ってきたりもしますね。
そんな犬好きなわたしですが、ある光景をみて犬の飼い主が一般的に持ち合わせている身勝手な傾向について考えてしまいました。
ベンチに犬を座らせることに抵抗がない飼い主
先日、毎週土曜日通っている歯医者の治療が終わり、天気が抜群に良くてほっと一息したいとおもい、近くのベンチに腰を掛けました。
そのベンチは、一般的な長方形の3人がけ等のものではなく、背もたれがない正方形の大きなもので6人ほどが腰かけれるようなものでした。
そこには、おそらく近所の方と思われる御老人が一人静かに腰かけていました。
わたしは御老人に少し距離をあけて座ってたところ、突然大型犬の散歩をしていたおばちゃんがベンチに座っていたのです。
そこまでは良かったのですが。
おばちゃんは、おもむろに犬も直接ベンチにあげさせて何やら話しかけたり、身体をさすったりしています。
飼い主にそのようにされた犬は「うれしい」とばかりに尻尾を振ったり、大きな体を飛び跳ねさせて飼い主への愛情を表現しています。
とにかく、大きな犬だったので、それはそれはそれは迫力と威圧感があって、犬が好きなわたしでもかなり迷惑でした。
わたしは、
「常識のない飼い主だなぁ」
「ウザい」
「早く帰ってほしい」
と思っていたところ
その迷惑なおばちゃんと犬はほどなく帰っていったのです。
ヤレヤレ^_^
そうしたら、わたしの隣に座っていたおとなしそうな御老人が
「ベンチは人の座るところ。そんなところに犬を乗せやがって!」
「何考えているんだ!」
とぼそっとつぶやき、ベンチを後にしたのです。
わたしはそれを聞いたとき、ちょっと嬉しかったのです。
「あぁ。犬の飼い主の非常識・勝手な論理に怒っているのは自分だけでなないんだなぁ」と妙に親近感を覚えたのですね。
というのも
自分は潔癖症とは言わないまでも、結構神経質な性格です。
仕事で使うカバンは絶対に電車の床に置きませんし、家の床もかなりきれいな方だと思います。
プラスまして犬好きなのだから、犬がベンチに直接上がったくらいで目くじらを立てるのは、自分だけなのかなと思っていたのです。
我ながら「ちっちゃい男」かなと。
でも、人に普段物言いを決して言わなそうな見るからに柔和なおじぃちゃんが結構激しい口調で文句を言っているのを聞いて安心したんです。
そして、やっぱり犬の飼い主は「結構勝手な論理構造の人が多いなぁ。」と思ったのです。
幼児が電車やベンチに土足で上がっていたら
もし、小さな子供が電車の座席や公園のベンチを靴を履いたまま土足で上がったりそうしようとしていたら、大抵の親御さんは、「靴を脱いでしようね。」と注意して靴を脱ぐことを促したり、あらかじめ靴を脱がせてあげますよね。
靴を履かせて散歩している一部の珍しい犬を除けば、ほとんどの犬は当たり前ですが、土足です。
つまり、靴を履いた幼児と足の汚れ具合は同じ状態なのです。
でも、人間である幼児の場合、注意したり靴を脱がせてあげたりして土足で上がることでベンチそのものが汚れたり、周囲の人がいやな思いをしないよう当たり前に注意が向くのに、方や、犬になるとなぜかそれが出来ない。
それどころか、土足で何食わぬ顔してはしゃいでいる犬を
「〇〇ちゃん、ヨシヨシ」とか言ってベンチから降ろすどころか、愛情を以てあやしたりしている始末。
勿論、犬には責任はありません。
だからこそ、かわいく愛おしい我がワンコであっても、ベンチなどの公共物を汚したり、それを利用する人々にいやな思いをさせないよう、飼い主さんは大いにワンコの行動に気を使うべきではないでしょうか。
犬の飼い主は人類皆犬好きだと思っている?
昔、わたしが遭遇して忘れられない光景です。
おばちゃんが大型犬と散歩している中、小さい女の子とすれ違いました。
犬は女の子に興味を持って近寄っていきます。尻尾を振っていたのできっと仲良くなりたかったのでしょう!
そうしたら、女の子は恐怖のあまり泣き出し、その場でうずくまってしまったのです!
きっと、女の子は犬が非常に苦手で怖かったのでしょう。
小さな子です。
その体験がトラウマになってますます犬のことが嫌いになるかもしれません。
そればかりか、犬だけでななく、それ以外の動物も苦手になってしまうかもしれません。
この場合も、ベンチの例同様にあくまでも犬に責任はありません。
(むしろ犬は女の子と仲良くなりたがっていたのですから...。)
飼い主は、犬が苦手な人がいることをあくまでも前提にして飼い犬を統率しなければなりませんよね。
犬がたとえ「愛情をもって」人に近づいて行こうとしたとしても、その気配を感じたのならばリードを引っ張ったり、声をかけたりして人に近づくのをやめさせるべきです。
だって、先ほどの女の子のように、その人は「犬のことが嫌い」なのかもしれないのですから...。
どうも、犬の飼い主というのは、人間は犬のことが無条件に好きであると思っている方が多いように思うのは私だけでしょうか。
その身勝手な「皆が愛するかわいいワンコ」という考え。
「そのワンコのすることだから...」
「ベンチに土足で上がるくらい、どうってことないでしょ」
と
土足でベンチにあがる犬に対してなんの注意もせず、それどころか、それを不思議とも思わない残念な飼い主に対して
御老人の静かな抗議を見聞きして
犬好きな自分であるからこそ
「そうはありたくないな。」
と思った次第なのでした。